Temuが低価格なのに送料無料なのはなぜ？万国郵便連合で途上国として優遇

Temuの配送料が無料なことには、以下の3つの理由があります。

あまり知られていないのは、万国郵便条約です。途上国から先進国への郵便は、先進国側が送料を多く負担する仕組みになっています。

Temuが本拠地としている中国は”途上国”として扱われているので、送料が安くすみます。

送料無料に関する基本的な知識を説明しつつ、大きなコスト削減の理由になっている万国郵便連合の仕組みをメインに説明します。

送料や商品価格は、今後高くなってしまう可能性があるので、Temuを利用するなら早めが良いです！

Temuの送料無料の条件｜最低購入金額を越えたら全ての注文が送料無料

Temuでは、最低購入金額を越えないと商品を注文することができません。

現状では2,100円で購入可能です。この金額を越えると注文可能で、すべての注文が送料無料で商品を届けてくれます。

中国からの配送なので、低価格の注文にも関わらず送料が無料になることに、疑問が湧くユーザーが多いようです。

仕組みがわかると送料無料の理由もわかるはずです！

なぜTemuは送料無料で商品を配送できるのか？｜資金力と販売量で下がるコスト

Temuが送料無料にできる理由は、商品がなぜ安いのかと同じで、以下の6の理由があります。

ひとつずつ詳しく説明していきます。

万国郵便条約で途上国として扱われている

Temuが低価格で商品を提供できる理由の一つは、万国郵便条約（UPU）の規定による配送料の優遇です。

UPUは国際郵便サービスを調整する機関で、中国はこの規定において途上国とされ、低い配送料が適用されています。

これにより、中国からの郵便物の配送コストが抑えられ、Temuは非常に低い配送料で商品を海外に発送できます。

しかし、最近の国際的な規制の見直しにより、中国の配送料が引き上げられる可能性があり、今後はTemuのビジネスモデルにも影響が出る可能性があります。

万国郵便条約については後半で詳しくお話します！

販売量が多いから様々なコストが安くなる

Temuのような注文数の多いショップは、”生産コスト”や”配送コスト”を下げられます。

大量生産による「規模の経済」が働き、商品一つあたりの生産コストが下がります。

また、物流ネットワークの改善や倉庫の自動化が進み、コスト削減が可能で、配送業者と特別な契約を結ぶことで、低い配送料で配達ができます。

データ分析やAIを活用して需要予測や在庫管理を最適化し、効率的な生産と配送を実現し、全体的なコストがさらに下がっていきます。

同一商品の価格競争で原価が安い

Temuは加盟店に価格競争をさせることで商品の仕入原価を落とし、それを配送料にも影響させています。

多くの出店者が同じカテゴリーで商品を提供することから、各加盟店は他店よりも低価格で商品を提供することで競争優位を得ようとします。

大量注文による規模の経済を活用し、生産コストを下げることができるため、価格を引き下げる余地があります。

さらに、Temu自体が低いプラットフォーム手数料を設定していることも、加盟店が価格を下げやすい環境を提供しています。

準直送システム

「Temuの注文はメーカーから直送される」という話を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、厳密には直送ではありません。

中国国内でTemuの協力会社の倉庫でまとめられてから、日本に向けて発送されます。

日本の場合は、メーカー、卸業者、小売店、ユーザーという流れが多く、中間に2社入っているのでマージンが高くつきやすくなります。

Temuには中間の2社が無く、代わりに倉庫会社のみが入ります。

日本の卸業者や小売店と比べるとマージンが安く、全体的なコストが下がり、配送料無料の実現につながっています。

ノンブランドメイン

Temuはノンブランド商品がメインです。有名なメーカーやブランドの商品は取り扱っていないので、原価が安いです。

amazonでも良く見かけますが、中国製のノンブランド品は商品が安いです。

Temuの場合だとAmazonのように注文ごとのマージンもなく、手数料が安いことからさらに仕入れが安いです。

だから、商品が安いにもかかわらず、配送料まで無料にしても小さな利益がでるようになっています。

広告代わりにコストをかけて安くしている

商品が安いことや、配送料が無料になる背景には、安さに振り切ってシェアを伸ばしているTemuの強みがあります。

安いからお客様が購入してくれてシェアが伸びます。つまり、コストをかけて安さを演出すればさらにシェアが伸びていきます。

広告費として、商品の割引をしたり、送料無料にしている、ということです。

Temuは万国郵便連合で途上国扱いなので送料が安い｜今後高くなる可能性がある

万国郵便連合（UPU）は、世界各国の郵便システムを統一し、国際郵便の標準化や料金設定を行う重要な国際機関です。加盟国間での郵便物の移動を円滑にするための基準を設定しています。

ここでは、万国郵便連合（UPU）の役割とその影響について詳しく解説します。

UPUの仕組みを理解することで、Temuからの国際郵便がどのようにして効率的に運用されているのか、その秘密に迫ります。

万国郵便連合(UPU)とは｜世界の郵便物がスムーズに届くようにするための機関

万国郵便連合は、1874年に設立された国際機関で、世界各国の郵便システムを統一し、国際郵便サービスの効率的かつ効果的な運用を促進することを目的としています。

UPUの本部はスイスのベルンにあります。

UPUは加盟国間の郵便サービスの標準化、料金設定、技術協力、そして国際郵便の運用に関する規則の調整を行っています。

また、加盟国間の円滑な郵便物の移動を保証し、郵便の質と安全性を向上させるための基準を設定しています。

万国郵便条約｜UPUで決められるルールのこと

万国郵便条約は、各国間の郵便サービスの調整と料金の設定を目的として1874年に設立された国際条約です。

万国郵便条約は、UPUの枠組みの下で締結される条約で、国際郵便に関する具体的な規則や規定を定めています。

条約は定期的に改定され、加盟国によって採択されます。

万国郵便条約は、郵便物の分類、料金、配送、トランジット、損害賠償など、国際郵便に関する全ての技術的および運用的な詳細を規定しています。

また、条約は加盟国が遵守すべき最低基準を設定し、国際郵便サービスの一貫性と信頼性を確保します。

UPUが管理運営する会議で万国郵便条約が改定され、新しい規則や規定が加盟国により採択されます。

Temuの万国郵便条約の利用方法｜中国は途上国扱いなので優遇されている

Temuは、万国郵便条約による低料金の国際郵便サービスを活用しています。

途上国から先進国への郵便物に対して有利な料金設定が適用されており、これが中国などの国からの低コストな配送を可能にしています。

これによって、アメリカなどの先進国への配送コストを大幅に削減可能です。

しかし、負担は先進国側が請け負うので、不満も大きくなってきています。

万国郵便条約の配送料の仕組み

配送料の仕組みは、送付国の負担と、受取国の負担に分けられます。

送付国の負担: 郵便物を送付する国は、国内の郵便サービスと国際発送の初期段階のコストを負担します。

受取国の負担: 受取国は、郵便物の国内配送のコストを負担します。これは、郵便物が国内に到着してから最終的な受取人に届けられるまでのコストを指します。

日本の負担はアメリカと同じ先進国タイプ

中国から日本への郵便物の場合、中国の郵便局が初期の配送コストを負担し、日本の郵便局が国内配送のコストを負担します。

つまり、Temuの注文の配送料の一部は日本が負担しているため、配送料が安くなっていると言えます。T

アメリカがUPUを脱退しようとした｜現在UPUの調整が大きく動いている

2018年10月、アメリカはUPUからの脱退を正式に表明しました。

理由は、中国などの国からアメリカへの郵便料金が低すぎるとし、それがアメリカの郵便事業者に不利であると考えたためです。

アメリカは、Temuなどのeコマースの成長に伴い、中国からの安価な郵便物が増加し、アメリカの企業や郵便サービスに悪影響を与えていると主張しました​。

アメリカの脱退表明を受けて、UPUの加盟国間で交渉が行われました。

2019年9月に行われたUPUの緊急会議では、アメリカの主張を受け入れ、新しい郵便料金体系の導入が決定されました。

この合意により、アメリカは脱退を取りやめ、UPUの枠内で引き続き活動することになりました。

新しい料金体系では、特定の国からアメリカへの郵便料金が段階的に引き上げられることになり、これにより、アメリカの郵便サービスの負担が軽減され、公平な国際郵便料金の設定が実現されることを目指しています​ 。

配送料や価格が高くなる可能性があるから今のうちに使うべき！

万国郵便連合の動きを見ると、今後配送料が高くなる可能性があります。

Temuでの買い物に直接影響すると思いますが、今のところ大きな変化はありません。

今後、商品や配送料が高くなる可能性は高いので、ぜひ今のうちにTemuを使っておきましょう！